データ統合と見える化で「データの民主化」を実現

  • Xinfony DataHub
  • ハウスプリペイド
  • 2026.03.02
左)コープこうべ 圓井氏 右)TMN 取締役副社長 TMN谷本 画像
左)コープこうべ 圓井氏 右)TMN 取締役副社長 谷本

コープこうべは、店舗、宅配、共済をはじめ複数事業を運営する国内最大級の規模を誇る生活協同組合です。

それぞれの事業でサイロ化されたシステムを使用していたことから、リッチな組合員情報を持っているにもかかわらずデータを活かしきれていない課題を抱えていました。

TMNのハウスプリペイドサービスおよびXinfony DataHub(シンフォニーデータハブ)サービスにより、ID統合、事業共通の組合員管理基盤構築、事業共通ポイントサービスの提供を行うとともに、データ活用に向けてデータの見える化や社外向けの加工データ作成を行い、コープこうべにおける「データの民主化」を実現しました。導入前の課題や導入後の効果について伺いました。







お話を伺った方・TMNインタビュアー 画像

現場担当者しか知らなかった組合員ニーズをデータで「見える化」したい

TMN谷本 まず、弊社とご一緒する前、御社はどういった課題、問題をお持ちだったんでしょうか。

圓井氏 生協は店舗、宅配、共済を3本の柱として運営しているのですが、組合員IDは同じであるものの、その管理は事業ごとにバラバラでした。
また、昔は配達している担当者が組合員と直接顔を合わせていたので、例えばお子さんが産まれたら成人するまで、コープこうべが全部知っているという、現場のアナログな暗黙知がありました。そろそろお子さんが大学を卒業するから共済をおすすめしよう、という営業もできた。言ってみたら組合員のライフステージが現場では見えていたのです。
それがだんだん時代の流れで置き配が増えて担当者が組合員にお会いしたことがないということも増えてきました。

一方、コープこうべでも組合員であることを示す組合員証も兼ねたポイントカードを発行していましたが、われわれがわかるのは〇〇さんの家に何枚カードを発行しています、ということだけで、組合員の家族のどなたが利用していただいているのか分からない状況でした。

しかも、そもそもコープこうべは、組合員の生年月日はネット会員の登録情報程度しかなく、組合員の正確な年代構成も把握できていない積年の大問題がありました。
そこで、ちゃんとデータで個人を把握し、何歳の方が組合員になっていて、どういう年代の方にどういうニーズがあるかを把握したい、という課題がでてきました。

組合員に「最適なタイミング」で「最適な商品やサービス」をご紹介するために、データで年齢・年代・ライフステージなどを「見える化」しましょうという話で、それだけのデータを生協は持っています。

店舗を利用している個人の見える化に加えて、業態ごとでサイロ化した仕組みの中で保持しているデータを、共通している組合員IDで統合し、組合員情報を一元管理したいと思っていました。

店内の様子 イメージ画像

TMN大高社長の「やり切りますから」がパートナー選びの後押しに

TMN谷本 組合員情報のデータ化、「見える化」を進めるにあたって、なぜ弊社をパートナーとして選んでいただけたのでしょうか。

圓井氏 コープこうべには171万人の組合員がいるのですが、我々もこれまで長年にわたって、何度も「見える化」の方向性を議論しましたが、なかなか先が見えない。とにかく、どれだけの工数が発生するか、コープこうべの内情を知れば知るほどその大変さがわかってくる状態で(笑)。

そんな中、御社の大高社長が「やり切りますから」とおっしゃってくださった。とことんコープこうべに付き合いますよ、と。あと、コスト面についても納得いくご提案をいただいたというのもありました。

全員が認識している課題も各論になると進まないジレンマ

TMN谷本 最初は、店舗、宅配などのIDデータを統合し、新たなポイントサービスを提供することから始まりました。各部門間の調整は大変ではなかったですか?

圓井氏 店舗でもらったポイントは店舗でしか使えませんし、宅配でもらったものは宅配でしか使えない。
この不便性というのは全員認識しているわけです。だからコープこうべ全体でポイント制度を1つにしないといけないという総論は持っていました。
ところが各論になると、「オペレーションが増える!」「こんな時どうしたらいいの!?」みたいな話が山ほど出てくるので、かなりハードな折衝もありましたね。でも結果的には御社のご協力もあってポイント機能とプリペイド式電子マネー機能を一枚に統合した「コーピーカード」を発行することができました。

コーピーカード イメージ画像

「見える化」した上でデータの分析ができる環境を作る

TMN谷本 コーピーカードでIDとポイントを統合した後は、集めたビッグデータの「見える化」を進めていくことになります。そこについてはどうでしょうか。

圓井氏 どの部署に行っても、「見える化を進めること」については、さっきのポイント統合と一緒で、みんな、賛同するわけですよ(笑)。じゃあ、それをどんなふうに進めるかになるとなかなか前に進まない。

事業ごとにシステムがサイロ化していて、そのサイロの中に組合員データが分散して管理されていて、自分たちが使えるデータは自分たちが管理しているシステムの中のデータだけなんですね、でもそれで今までずっと仕事してきてるから、それが自然なんです(笑)。

でも、例えば共済の契約情報を使えたらいいのにな、みたいなことはみんながなんとなく思っている。そのデータを「見える化」して、各事業が持っているデータと相互に使える形にすることができていなかったですし、そういうことを実現するための部署も環境もなかった。

それをするためには、サイロ化されている基幹システムの中にある組合員データから必要なものを抜き取って、扱いやすくする環境を作らなくてはなりません。
扱いやすく「見える化」した上でデータの分析もできる環境を作るということですね。そこで引き続き御社とご一緒するのは、これまでの流れからしても一番いい判断だったと思いますし、とても自然な流れだったと思います。

一元管理したデータでいろいろな施策を考えることができるように

TMN谷本 ポイントを統合することはできた。次に集めたビッグデータを整理、加工して、それぞれの部門のニーズに応じたかたちでアウトプットするシステムが必要になってきたということですね。
そこで、弊社が提供させていただいたのがビッグデータの活用を促進するデータハブサービスの「Xinfony DataHub(シンフォニーデータハブ)(以下、DataHub)」で、これは弊社にとっても初めての挑戦でした。

圓井氏 データの統合、「見える化」という入口から御社と一緒に走らせていただいたので、その後のスピード感も早かったと思います。

我々はデータドリブンな会社の入り口にすら立っていなかった。非常にリッチな組合員データを持っているはずなのに、それを活かしきれていない。相変わらず一生懸命時間をかけてExcelでデータ分析をやっていたのです。

それが「DataHub」を導入することで、一気に作業時間を削減できたうえに、一元管理したデータでの検証だけに留まらず、データそのものから、いろいろな施策を考えることができるようになりました。

コープこうべ 圓井氏 画像

コープこうべにおける「データの民主化」をどう進めるかいうこと

TMN谷本 まだ走り始めたばかりのシステムですが、その中で見えてきたことというのはありますか。

圓井氏 御社にデータを預けず、コープこうべの中だけでやっていたら、今でも実現できていなかった自信があります(笑)。仮に実現できていたとしても、データ利用の自由度、スピード感が著しく落ちていたと思います。
自社内ではなく、御社にデータを安全かつ長期間預かっていただけるというのは、コープこうべにとって非常に大きな価値があるんです。

TMN谷本 弊社がデータをお預かりすることによって、御社の中のあらゆる組織が平等にデータにアクセスしやすくなったという面もあるかもしれません。

圓井氏 これまで、コープこうべの組合員データは、データを持っている部門しか利用できないことが当たり前だったので、表現は悪いですが、結果として、その部署の独占物でした。
だから今回のDataHubの取り組みというのは、コープこうべにおける「データの民主化」をどう進めるかいうことでもあるのです。御社が見事に交通整理していただいたという印象ですね。

Excelで数日から長いと1週間かかっていた集計作業が15秒に

TMN谷本 具体的に仕事の面でDataHubによって変化したところがあれば教えてください。

圓井氏 データをExcelじゃなくてDataHubで、ユーザー側の自由意思で集計ができるようなになったのは驚きでした。これまでの拙い知識とスキルだとExcelで数日から長いと一週間かけていたものが、ものの15秒で集計されるのには、みんな感動してます。

あるデータを必要としているスタッフが特別な知識も持たずに、そのデータにアクセスできる環境にあるというのがDataHubの本当の価値なのだろうなと思っています。
DataHubがデータに基づいて出してくれるファクトに基づいて誰もが判断ができる。

配送トラックの様子 イメージ画像

過去のデータから未来へのステップを見つけ出す

TMN谷本 今後、もっと進化させたいと思うところ、弊社に期待されている点などあれば教えてください。

圓井氏 幸運にもコープこうべがDataHubのファーストユーザーになれたわけですが、そのおかげでデータを「預ける」と「つなげる」は盤石になりました。でも、これで終わりじゃないですよね、だって「ハブ」なんだから(笑)。

次の課題は「見つけ出す」だと思っています。データというのは結局過去のものです。本当のデータ活用というのは、過去の中から未来へのステップを見つけ出すことだと思います。過去を踏み台にして未来に踏み出すための何かを「見つけ出す」。この「見つけ出す」をどうすればいいのか。是非ここは御社と一緒に進めさせていただきたい。

昨年、三菱食品さんと連携し、DataHubを通じてアウトプットしたデータをデジタル広告に用いるマーケティング施策を始めましたが、それが第一歩です。

TMN谷本 少し唐突に聞こえるかもしれませんが、データというのは、不動産で言うと土地だと思うのです。「見つけ出す」のところは、要はデベロッパーです。土地の上に商業施設を作る、マンションを作る、それでようやくそこの土地に立つ建物として価値を持つわけですよね。  

TMN 谷本 イメージ画像
 

圓井氏 なるほど、データは確かに土地かもしれませんね。コープこうべのデータは、リッチですが相当な荒れ地で(笑)、土地の上に何も建てられない状態だったのを、DataHubでブルドーザーのようにならしていただき、高価な土地になったわけですね。じゃあ、次はその土地のうえをどうするか、です。

ゆりかごから墓場までと生協ではよく言うのですが、ライフタイムバリューを最大化させるためのリッチなデータ、高価な土地をコープこうべは持っています。
例えば、我々小売業の価値のひとつに、商品を作ってくださった方々に対して、御社の商品はこういう人たちに求められています、ということをフィードバックするということもあるはずです。
社内のデータの民主化もそうですが、売っていただけるメーカー、生産者、そしてもちろん買っていただける組合員に対しても同じようにデータの民主化を進めて、データから生まれた価値を還元することができると思っています。

DataHubの中で、いろいろなデータを組み合わせたり、データから類推したりすることで、もっと肥沃な土地を作れるはずです。その上にたくさんの果実を実らせた木を育てて、それを組合員、メーカー、生産者と共有する。それがデータを「預ける」「つなげる」の次の段階、「見つけ出す」ということになるのだろうなと思っています。

TMN谷本 ありがとうございました。

生活協同組合コープこうべ

  • 設立:
    1921年(大正10年)4月12日 神戸購買組合
    1921年(大正10年)5月26日 灘購買組合
    職員数:9,161人(臨時、嘱託、アルバイト含)
    事業内容:宅配事業、店舗事業、電力事業、共済・サービス事業、福祉事業、協同学苑
    ウェブサイト:https://www.kobe.coop.or.jp/
※掲載内容は取材当時のものです。